山鹿のお酒紹介①「日本酒」〜千代の園酒造〜

山鹿は八方ヶ岳や国見山など山々の緑豊かな自然と、清流で知られる岳間渓谷や矢谷渓谷、豊富な地下水を湛え、菊池川をはじめ水に恵まれたエリアです。
日本酒づくりのお米、ワインづくりのブドウ、ウイスキーづくりの天然水、水の恵みによってもたらされる恩恵を産業として、また文化として大切に育てていく人たちがいます。
温泉地の新たな魅力を紐解く「山鹿のお酒」、作り手の想いとその裏側をご紹介いたします。

熊本を代表する酒蔵の一つ「千代の園酒造」。

豊前街道の町並みに、印象的な大きな煙突があることで知られ、重厚な蔵づくりの建物や酒づくりの歴史の史料館は観光スポットとしても有名です。

1896(明治29)年創業の伝統を誇り、その日本酒は地元だけではなく、和食店や居酒屋など多くの飲食店で取り扱われています。

近年の全国新酒鑑評会では熊本県で唯一入賞したほか、さまざまなコンテストで金賞を受賞するなど、海外からも非常に高い評価を受けています。

酒づくりは米づくり

秋の酒米の収穫が終わり、朝晩の気温もグッと下がる10月後半ごろから、本格的に酒蔵が稼働しはじめます。

守られてきた伝統と躍進し続ける酒づくりについて、本田社長にお話しを伺いました。

(以下、本田社長のお話を一人称形式で掲載しています)

「千代の園」として酒づくりを始めて私で4代目になります。
元々、江戸時代から米問屋をやっておりまして、地域のお米を玉名の高瀬蔵に運び、さらに大阪の市場に向けて運んでいました。
山鹿のお米は、当時の米相場を左右するほどの人気だったと伝えられています。

明治になってお米を原料に酒づくりを始めました。
1896(明治29)年の9月25日に創業、今年で126年になります。(2022年取材時)

酒づくりに欠かせない米づくり。
その米に関してはかなりこだわっていて、近年は熊本県オリジナルの酒米品種である「華錦」(はなにしき)を多く使っていますが、明治から昭和の初めまで西日本一帯で作られていた「神力」(しんりき)という酒米を30年ほど前から復活させる取り組みも行っています。

酒米に求められるものは、通常の食用米と観点が異なります。食味やもちもち感は酒づくりの邪魔になってしまうためです。

お米1,000粒の重さの単位「千粒重」(千粒の重さあたり)で測ると、普通の食用米は20gくらいに対し、酒米は28gくらい。
酒米は心白というでんぷん質のかたまりが大きいものが求められ、その部分の発生率が高いほど良い酒米とされます。それを磨きと呼ばれる工程でどの程度精米するかがお酒づくりの要となるところです。

また、このでんぷん質の成分にも違いがあります。お米やもち米のもちもち感の違いにもでんぷん質の成分の違いが関係していますが、酒米の場合は、よりもちもち感の元となる成分が少ないものが選ばれます。
食用のお米のようにもちもちしたものは麹がつくりにくいため、パサパサしている米が求められるのです。
もう一つ重要なポイントは、米自体が低タンパクであること。タンパク質は苦味や雑味の元となってしまいます。

温暖化とともに、産地も北上していて、今は北海道のお米が人気ですね。
熊本でいえばそれが阿蘇にあたります。阿蘇の内牧や産山の農家さんと直接契約のお米も増やしていて、米に対しての熱意や思いを生産者と共有することも大切だと考えています。

海外ニーズの高まり

日本酒は世界での評価が高まっており、輸出も全体の10%くらいを占めるようになりました。
フランスのワイン輸出額は1兆円〜2兆円規模と言われていますが、日本酒もその可能性を秘めていると思うので、国内市場以外の可能性も高めていきたいと考えています。
千代の園の一番大きな海外市場はアメリカ。さまざまなやりとりの中で、消費先としてもしっかり飲まれているなと感じますね。

今後はヨーロッパ、特にフランスやドイツでもシェアを広げたいし、近場の台湾、香港、東南アジアにもファンが増えるようにしたいですね。

日本で作られた清酒のみ日本酒と表記できますが、世界的に見ても清酒づくりが広がっていて、クラフトビールならぬ、クラフトSAKEのような小さな酒蔵で酒づくりを始めるムーブメントも起きています。

世界的なワインコンテストの清酒部門にも色々な国からの出品が増えていて、日本の酒蔵に学びに来る外国の方もいらっしゃいます。お酒の文化としても裾野が広がるのはとてもいいことです。

こちらはクラフト酒感たっぷりの大吟醸。猫好きの社長のアイデアも詰まった1本。

笑顔で飲めるお酒、それにつきます

米づくりも酒づくりも、魂を込めた「入魂の一滴」みたいな表現はしたくないんですよ。
もちろん、みんなで一生懸命に作っているし、そこは職人としては大前提です。
ただ、堅苦しくなく笑顔で飲めるお酒、人間の心や生活を豊かにし、膨らみを持たせる、日常の中に存在する楽しい時、悲しい時にそっと寄り添うお酒でありたいなと思います。

特に心がけているのは、食事と合うように、食べながら飲んで楽しいお酒ですね。
食文化の中に存在するお酒として、香りが立つお酒よりも料理を邪魔しないお酒、今後の酒づくりもその部分は大切にしたいなと考えています。

■千代の園酒造の主力商品はこちら

「くまもと酒文化の会」の『地元・熊本でも他県に負けない旨い日本酒を製造し、その地元の旨い酒を売りたい』という想いを千代の園が受け、販売店と協力して生産、販売している「泰斗」(たいと)。

まろやかな口当たりとおだやかな吟醸香のバランスのとれた奥深い味わいが特徴の、幻の酒米「神力」を復活させて醸した純米吟醸酒「熊本神力」。

優しい口当たりと飲み口すっきりの純米酒「純米酒 朱盃」。

他にも、女性に人気のリキュールや季節限定商品も店頭に並んでいるので、ぜひ好みのお酒を探してみてはいかがでしょうか。

■山鹿市のふるさと納税返礼品にもなっている千代の園酒造のお酒

ワインと同じコルク栓を使用した独自の瓶熟成が楽しめる「純米大吟醸朱盃」と「大吟醸千代の園エクセル」。

「純米大吟醸朱盃」は、磨き上げたお米のうまみと熊本酵母の穏やかな香りが楽しめる朱盃シリーズ最上位。「大吟醸千代の園エクセル」は、醸造の日本酒の中でも最高峰の精米歩合35%まで磨き上げ、より上質な味わいが人気です。

華やかな香味とふくらみのある旨味が絶妙な調和を保った逸品。贈答用にもおすすめです。

「純米大吟醸 朱盃」「大吟醸千代の園エクセル」「大吟醸 千代の園」は、山鹿市のふるさと納税の返礼品にも出品されています。

詳しくは、①ふるさとチョイス(外部サイト②楽天ふるさと納税(外部サイト)をご覧ください。

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