山鹿のお酒紹介②「ワイン」〜菊鹿ワイナリー〜

菊鹿ワインのブドウ畑

2018年にオープンし、醸造家と栽培農家の情熱でゼロから作り上げ、最高の品質を追求し続ける「菊鹿ワイナリー」。

今や名実ともに世界クラスへと成長を遂げ、新たな地域の観光資源としても菊鹿ワインが注目されています。

そんな日本でも有数の注目ワイナリーの一つ、菊鹿ワインの契約農家である古家さんのブドウ畑を訪ねました。

10月初旬、朝靄のブドウ畑に陽光が差し込む圃場、今日はカベルネの収穫日

55歳の時にブドウ生産者の募集を見たのが、前職の食品会社からこの道に進んだきっかけだったという古家さん。

生産組合の中でその年の1番の出来を示す畑からだけ朝摘みされる「ナイトハーベスト」に選ばれるなどブドウ作りには定評があります。

元々ワイン好きではなかったものの、菊鹿ワインと出会って初めてその魅力に取り憑かれたという古家さん。

8年前に叔父のブドウ畑を引き継ぎ、現在は7反の圃場を奥様と2人で管理しています。

菊鹿ワインのブドウを作っていた叔父に並びたいという気持ちを抑えきれず、「世界に誇れるものをいつか自分の育てたブドウで手がけてみたい」と定年後に一念発起しました。

「実際始めてみると管理は大変だし、糖度を上げるための工夫も必要だし、虫の対策などその手入れは想像以上でしたね」

「仕立て」の腕次第で50年はもつブドウの樹

品種の特性や作業性に合わせてブドウの樹の高さや枝ぶりを整えることを「仕立て」といい、古家さんの畑のブドウの樹は樹齢22年。「仕立て」の腕次第で50年もつものもあるそうです。

枝と枝の間は手入れがしやすいように、腕1本入るような隙間を残す形になっています。
適度な隙間を作ることで、実の裏側まで光が届くようになり、ブドウの実も育ちやすくなります。

カベルネの場合は、黒に近い濃い色であるほど品質もよく、色づきには昼夜の寒暖差が不可欠です。

近年の温暖化による熱帯夜では色づきが難しく、栽培の工夫が品質を大きく左右します。

【ブドウづくりの1年について】
1つの樹から数十年に渡り収穫可能なブドウ。収穫後に12月まで葉が落ちるのを待ちその後剪定を始めます。まずは一定の高さで粗剪定を行い、冬場に2芽残して切り落とします。その後、2本出させていい方を残して摘果(実の栄養を集中させるため余分な実を取り除く)していきます。光合成のバランスを考えながら、先に伸びようとする力が強い根元に近い方を残すそうです。冬場は古くなった樹皮を剥いだり、害虫を取り除いたりして春を待ちます、実ができはじめる3月頃に肥料を与え、土壌分析をしながら調整していきます。春以降は病気と害虫のケアが重要で、目視でいかに早く発見して対処できるかが鍵。梅雨、夏場を経て寒暖差で実の糖度を上げ、収穫の秋を迎えます。

ワイン作りに合わせて、収穫は1回限り

コンクールの受賞で有名となった白ワインの原料となるシャルドネは28軒の生産農家がありますが、菊鹿で赤ワイン用のブドウ、カベルネを作っている農家さんは4軒のみ。

ブドウの収穫は長くとも1週間以内に限られるため、この日もたくさんのブドウ農家さんが応援に駆けつけ、収穫もお互いに助け合います。

ブドウと他の作物の違うところは、期間中採れ続けるわけではなくて、収穫が1回限りのこと。

ブドウづくりへのチャレンジも、収穫も年1回限りの1発勝負なのです。

「何年やっていても、毎年1年生の気持ちで取り組んでいますよ」

毎月、指導員や醸造部門の方と綿密な連携をとりながら品質の維持、向上に取り組む古家さん。

せっかくの収穫の機会なので、最後にブドウそのものを味見させていただきました。

粒だちもよく、想像以上に甘いブドウ。しっかり種も入っています。(種無しは甘くならないそうです)

朝の凜とした空気の中、このブドウがワインになる日を想像すると自然への畏敬の念と共に、古家さんら生産者の愛情の深さを感じました。

収穫されたブドウはワイン工場へ

この日、工場に運ばれたカベルネのコンテナは全部で約2,000kg。

だいたいブドウ1kgでワイン1本ができる計算なので、このブドウが約2,000本分のワインになります。

到着したブドウは保冷後にプレス機へと投入され、まずはジュース状にします。

ローラーが回ることで茎を取り除き、ブドウの実だけが驚くほどきれいに取れていきます。
この段階で、果汁が出やすいように実も軽く破砕するそうです。

搾りたての果汁は淡いピンク色でキラキラと輝き、プレス機のまわりもブドウの香りに包まれます。

醸造に必要なもの

赤ワインの場合、果汁以外に果皮や種子も一緒に発酵させます。

果皮など全体が果汁にしっかり浸かった状態になるよう、手でかき混ぜては押す作業を2週間ほど毎日何度も繰り返します。

これはパンチダウンやピジャージュと呼ばれる作業で、醸し具合がワインの味を左右するため、この作業は、しばしば愛情に例えられるほど作り手の影響が大きい部分です。

作業する樽庫の室温自体は約18度に保たれますが、発酵熱が発生するため、その温度が均一に下がるように、何度も何度も表層に浮いたブドウを沈めていく必要があるのです。

その後タンク熟成を経て、商品となります。
さらに、タンク熟成の後に樽熟成させるものもあり、熟成期間は約1年を要します。

樽選びも本来数行では書けないほど奥が深い世界だそう。
樽づくりの工程での火入れ、その内側の焼き目や、木の種類によっても成分の抽出具合が変わるので、ワインの複雑な香りや旨味を形成する上でどの樽に入れるか、豊富な経験と判断が求められるのです。

畑からショップに並ぶまでブドウが旅してきた過程と、作り手の想いが詰まったワインの物語は、いかがでしたか?

知れば知るほど、ワインとの接し方も変わるかもしれません。

今回、熊本ワインファームの製造統括部長の西村さんから醸造のお話を伺いました。西村さんは原料の調達から醸造までを手掛けられています。

現場で13年醸造を学び、産地づくりや工場のラインも含めて生産者と連携をとりながら、日々最高のワインづくりを探求されています。

■今回取材した畑からできるワインはこちら

菊鹿町産カベルネソーヴィニヨンを100%使用したロゼワイン。

樹齢22年になるカベルネソーヴィニヨンをステンレスタンクで発酵させ、フレンチオーク樽にて約4カ月、瓶詰後8カ月熟成させました。
淡く明るいルビー色の外観にブルーベリー、カシス、アーモンド、グローブのような香りがあり、口あたりが柔らかくありながら骨格はしっかりしています。
完熟した果実味や程よい渋み、果実や樽由来のスパイシーさが感じられ、エレガントな逸品となっています。

■山鹿市のふるさと納税返礼品にもなっている「菊鹿シャルドネ」

令和4年3月に開催された国際ワインコンクール『シャルドネ・デュ・モンド』で、日本のワイナリーで唯一シルバーメダルを受賞した「菊鹿シャルドネ」。 

「菊鹿シャルドネ」は山鹿市のふるさと納税の返礼品にも出品されています。

詳しくは、①ふるさとチョイス(外部サイト②楽天ふるさと納税(外部サイト)をご覧ください。

また、ワインの受賞歴はこちら(公式サイト)をご覧ください。

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