不動岩
市指定名勝
▼数億年の歴史を刻む「さざれ石」
この不動岩は、山鹿市三玉(みたま)地区の蒲生(かもう)にあり、その北東・標高389メートルの山の中腹から頂上にかけ、天に向かって突き出しています。岩の高さは約80メートル、根回りは100メートルです。
不動岩は、5億年以上も前の古生代(オルドビス紀)の『変はんれい岩』からできたもので、まだ日本列島の形すらできていない時代のものです。この変はんれい岩が気の遠くなる年月をかけて崩れて海に流され、海水に洗われ丸い小石や砂(さざれ石)になり、そのさざれ石が海底に厚く積み重なって強い圧力を受け岩磐となり、その周囲が削り取られていわゆる国歌「君が代」の歌詞にある「さざれ石の巌(いわお)」となったものが不動岩です。また奇岩名勝として、熊本二十五景のひとつにも数えられています。春には約200本の桜が岩の周囲を彩ります。
▼名前の由来
平安時代、山伏たちがこの山中にこもり、不動明王を本尊として祀り修行したことに由来します。当時たくさんの山伏たちがこの岩の周りに坊を建て、修行していたと伝えられています。現在も不動岩の付け根には不動神社の拝殿があります。不動岩のふもとまでは登山道路(九州自然遊歩道)が整備されており、乗用車が7台駐車できる展望所もあります。前不動(まえふどう)・中不動(なかふどう)・後不動(あとふどう)の三つの岩から構成され、中不動と後不動には、遊歩道を使って登ることができ、そこからの眺望はまさに絶景といえます。
「みいくさの 神の姿を仰ぐかな 平伏す岩は まつろえる神」という古歌が残っています。
この威風堂々とした不動岩の雄々しくそそり立つ様が、いかにも男性の力と美を全身にみなぎらせたような姿ではないか、という意味です。歌にも表現されるように、この地域に住む人々の精神的シンボルとしても親しまれています。
▼不動岩の伝説
不動岩には、おもしろい伝説があります。
むかしむかし、不動岩とその西北にある彦岳権現は義兄弟でした。蒲生の山に住んでいた母は、かねてから継子の彦岳権現には、まずい大豆やそら豆ばかりを食べさせていました。一方、実子の不動岩にはおいしい小豆ばかり与えて、大事に育てていました。いよいよ相続遺産をさせるということになったとき、この両者を綱引きで力比べをさせて、勝った方に相続権を与えることにしました。
不動岩と彦岳権現の中間にある震岳(ゆるぎだけ)の頂上に大綱をかけて、綱引きの号令をかけました。
すると、小豆ばかり食べて育った不動岩は、最後のふんばりがきかずに、彦岳権現に敗れてしまいました。
その負けっぷりもたいしたもので、首が吹き飛んで一ツ目神社の上の丘に落ちるほどでした。
その傷口から流れ出た血によって、このあたり一帯の土が赤土になったと言われています。
綱引きのとき、両者の力で土が盛り上がってできた山が現在の震岳であり、この山の頂上のふたつの凹地は綱引きの縄跡と言われています。
▼チャレンジ!中不動に登ってみよう
登山初級者でも約20分ほどで中不動の頂上へ登ることができます。
絶景が見渡せる頂上へ実際に登ってみましょう。歩きやすい服装と靴でレッツチャレンジ!
(時間はあくまで目安です。ご自分のペースでゆっくりと登ってみましょう。また、頂上はたいへん狭く柵など一切ありませんので、くれぐれも足元に注意してください。)
▼不動岩にお越しいただく方へ
不動岩は蒲生山の中腹にあるため、途中から離合が困難な細い農道を通ります。
見通しが悪く、舗装も荒れておりますので、安全運転で走行してください。
また農作業の邪魔にならないようにしていただき、ゴミなどを絶対に捨てないようにお願いします。
▼ご注意とお願い
下山するときは、たいへん足元が滑りやすくなっていますので、ゆっくりと気をつけて下りるようにしましょう。
以下のルールを守って、楽しい登山を!
①服装などの装備は万全にして出かけましょう。
②歩行中は禁煙を守りましょう。
③野鳥や動物を捕獲したり、傷つけたりしないようにしましょう。
④植物や鉱物を採ったり、傷つけたりしないようにしましょう。
⑤歩道施設、標識などを大切にしましょう。
⑥歩道以外の山や畑に入らないようにしましょう。
⑦ゴミは必ず持ち帰りましょう。
⑧事故を防止するため、なるべく同伴者の方と一緒に登りましょう。
ギャラリー
施設情報
所在地 | 〒861-0522 山鹿市蒲生 |
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駐車場 | 7台 |
交通アクセス | 九州自動車道菊水ICから、県道16号を通り国道325号を菊池方面へ。上十三部交差点から左折し直進、蒲生方面へ。 |