『やまが和栗』が最盛期
「山鹿の栗はおいしか~」このような声が今年も多く聞こえてきました。
みなさんは、栗ご飯、栗だんご等、栗料理は食べましたか?
山鹿市は、西日本一の生産量を誇る栗の産地です。
8月下旬から「丹沢」「杉光」の収穫がはじまり、現在は、「筑波」「銀寄」「利平」の品種に収穫が移っています。
今年は、猛暑日が続いたため栗の生育が心配されましたが、「着果、大きさとも良好です」とJA鹿本の関係者が話されていました。
山鹿市の風土や寒暖の差がある気候がおいしい栗を育てているのはもちろんですが、JA鹿本の栗部会員は、537名。550ヘクタールで栗の栽培が行われています。栗が大きく育つように剪定、選別の徹底、勉強会等を通して、おいしい栗が育ちように愛情を注ぎながら努力されています。
今後は、おいしい『やまが和栗』として全国に認知されるよう、生産者、関係者ともにがんばっていきたいと思います。
山鹿市は『和栗』で盛り上がっています。グルメイベント等、開催中
11月30日まで、山鹿市内の34店舗では『山鹿和栗スイーツフェア』が行われています。栗を使った山鹿ようかん、栗だんご、モンブラン、パン等、いろいろなスイーツが販売されています。
10月21日まで、山鹿市の鹿北地域では、地元で栽培された自慢の芋と栗を使ったランチメニューを提供しています。ぜひ、内容を確認されおこしください。予約が優先されますので、予約しての来店をお勧めします。
同期間には、山鹿市内10店舗で『栗、クリ、くり』の名前がつく方の優待キャンペーンを実施中です。ぜひ、内容を確認されておこしください。
◎9月23日(祝)9時から15時
あんずの丘マロンフェスタが4年ぶりに小規模ですが復活します。
焼き栗の実演、栗スイーツの販売等が行われます。15時からは、きくかまつりが開催されますよ。
◎9月16日~10月9日
西日本一の栗まつりウィークが始まりました。
山鹿市内による物産館では、栗にちなんだイベントや限定商品の販売が開催されます。スタンプラリーも行われています。遊びにきてください。
栗生産者が愛情たっぷりに育てた「やまが和栗」は、どんなところで食べられているのでしょうか。長年、「やまが和栗」を使っていただいている福岡市のパン屋「boulangerie pain stock」と横浜市の洋菓子店「Au petit matin」を取材していただきました。 山鹿で育った栗は、味と香り、愛情の深さは日本一ですね。
やまが和栗が生きる人気ベーカリーのパン
福岡市東区に、全国から注目されるパン屋「boulangerie pain stock(ブランジェリー パン ストック)」がある。
一度食べたらやみつきになる、リピーター続出の有名店だ。
週末ともなれば県内外から来た客がレンガ造りの建物を目指して行列をなす。
期待を膨らませながら店内に足を踏み入れると、そこはヨーロッパのパン屋のようなナチュラルで素朴な空間となっていた。
壁に沿って弧を描いた陳列棚に、所狭しと並ぶパンが間接照明に照らされている。中央に飾られた沢山のドライフラワーがシンボルツリーのように鎮座し独特なムードを醸し出す。しかし洗練され静かな雰囲気とは反対に中にいる人々は活気にあふれている。 その中で、秋季限定で注目を集める、やまが和栗を使用したパンがある。
奥で黙々とパンを焼き続けるのは、オーナーシェフの平山哲生さん。
平山さんは福岡に生まれ、4年間地元のベーカリー「パン・ナガタ」に勤務したことをきっかけにパン作りに目覚め、フランス、東京で技術を磨いた。
2010年7月「パンストック」を開業するや否やたちまち福岡の人気店になったという。
同店のパンは数種の自家製酵母種などで長時間発酵させた、旨みが濃く口溶けのよい生地が特徴。口に入れた瞬間にパンの香りが鼻を突き抜け、噛めば噛むほどに味わいが変化し、生地そのものの味、素材の味が最後まで楽しめる。
国産小麦を中心に、安心して食べられる素材だけを使っているのもこだわりの一つとなっている。
そんな同店に毎年9月から11月中旬までの期間限定で登場する「deux marron(ドゥマロン)」(320円)がある。
たどりついた極上の栗パイとは
フランス語で“2”を意味する「deux」。
“2種類の栗”という名前の通り、栗ペーストと渋皮煮が入ったパイだ。そう、やまが和栗を使っている。
特に栗ペーストは生クリームを加え、よりなめらかな口当たりを演出。
デニッシュ生地に包んで焼き上げたサクッとした食感と栗ペーストが絡み合ったと思えば、渋皮煮の濃縮された栗の風味と食感が後から追いかけてくる。
栗のよさを思う存分堪能でき、食べた途端に「うまい」と唸ってしまうに違いない。
「お客さんも味の良さが分かっていると思います。『deux marron』はやまが和栗のよさが最大限に引き出されていますから、すぐに売れてしまいます」と平山さんが語るように、この「deux marron」は同店でも人気が高く、一日20個限定とあって午前中にはほぼ完売してしまう。
ほかに山鹿産の栗を用いたものとしては、渋皮煮とチョコレートをデニッシュ生地で包んだ「栗とチョコのデニッシュ」(280円)が定番。 表面にまぶした黒ゴマとほどよい甘さのチョコレートが何とも言えないハーモニーを生み出し、丸ごと入った渋皮煮が素朴な甘さと味わいを奏でる絶品だ。
やまが和栗の素朴な甘さがいいと思う理由
確かな技術とセンスで数々のオリジナルパンを作り上げる平山さん。
実をいうと栗を使ったパン、以前はほかの産地の栗を使っていた。
しかし、国産であっても甘みの強さが気になり、栗を使ったパンを作らなくなったという。
あるとき、やまが和栗と出あう。
平山さんは「和栗の中でもやまが和栗は特に香りの高さ、ほくほくとした食感、嫌味のない素朴な甘さが際立っています。パンや菓子との調和性が最も高いのではないかと直感しました。もちろん、うちのパンとも相性は抜群にいい」と優しい笑顔で語る。
さらに栗そのものの味が生きているためペーストに加工しても本来の味が損なわれないという。
「栗を使ったパンは手間がかかってしまうが、どれも評判が良い印象。近年のモンブランブームも後押しになってやまが和栗が入手しにくくなっている現状があるものの、今後もうちの商品にこの和栗を積極的に取り入れていきたい」と締めくくった。
やまが和栗は、安心な食材と素材そのものの美味しさを追求する平山さんの手によって贅沢な味わいのパンへと生まれ変わった。 ここ、福岡の地でも山鹿和栗は多くの人々に幸せを届けている。
[基本情報]
店名:boulangerie pain stock 箱崎本店
電話:092-631-5007
住所:福岡市東区箱崎6-7-6
営業時間:10:00-18:00 休:月曜.第1・3火曜、11/21,28 12/5,6,12,19,20,26,30〜1/4
横浜を代表する名洋菓子店の絞りモンブラン
横浜市金沢文庫にある高級マンション街に『Au petit matin(オ・プティ・マタン)』という絶品洋菓子店がある。住民はもちろん、その美味しさを聞きつけた人々が市外からも多く足を運ぶ名店だ。南フランスに瞬間移動したような街並みにあり、併設のカフェで美しい公園を眺めながらケーキとお茶を愉しめるとあって、豊かな時間を過ごそうと平日でも客が途切れることなく訪れる。
ここ横浜の名洋菓子店では、長年にわたりやまが和栗が選ばれている。
秋、人々のお目当ては、賞味期限2時間というモンブラン(650円)だ。一番美味しい状態で食べてもらいたいと、注文を受けてからマロンクリームを絞って作り上げられる。
オーナーシェフの武井晴峰さんは語る。
「四、五年前から色んなタイプのモンブランが出てきましたが、巷のモンブランはクリームが細くて、絞るときの摩擦で栗の香りが飛んでしまっているんです。オ・プティ・マタンのモンブランは直径2mmと太く絞り出しているので、味だけでなく栗の香りも堪能できます」 スイス・フランスで修行を積み、帰国後2007年に『オ・プティ・マタン』をオープンした武井さんは、2019年には鎌倉市に『Mont Blank Stand(モンブランスタンド)』をオープンし、またモンブランアイスのオンラインショップ『Mont Blanc Glacé(モンブラングラッセ)』も開店した。モンブランアイスはモンブランペースト・メレンゲ・アイスクリームの三つが同梱され、自分達で作り上げる過程も楽しめると好評だ。モンブランといっても、栗のクリームは秋冬限定。春夏には北海道産の黒豆や静岡県産の桜の葉など、季節感を大切にその時期に一番美味しい素材でモンブランを提供する。どれも保存料・添加物の類は使用せず、美味しさを常にアップデートして、遠方の人々にも届ける工夫を続けているのだ。
栗スイーツを支える厳選素材とは
そんな武井さんが選ぶのが、やまが和栗だ。
「やまが和栗はとにかく香りが強く、味が濃い。舌に残る味と鼻から抜ける香ばしさ、香りの持続性は、他の産地の栗とは全く違う。水はけの良い火山灰で育っているので、実が水っぽくならず濃厚なのではないか。日本の果物はみずみずしいのが特徴だが、山鹿はヨーロッパ寄りの土壌なのかもしれない」
そんな『オ・プティ・マタン』のモンブランは、さくさくのメレンゲを最下層に、甘みを足していない生クリームを中央に配し、やまが和栗のマロンクリームをふんだんに重ねたごまかしのない贅沢な味わいだ。口に入れると、同伴者との話も中断して舌の感覚に集中してしまう。飲み物には紅茶やコーヒーも良いが、ほうじ茶とも合わせたい。
また、手土産にうってつけの焼き菓子マロンフィナンシェ(280円)も魅力的だ。 一つのフィナンシェに和栗の渋皮煮が一つ丸々包まれている。外はしっかり、中はしっとりしたフィナンシェは、甘いだけの簡単な味わいではなく、和栗とバターで相乗効果を成した逸品だ。その慎ましい見た目は手渡された人を和ませ、頬張ることでさらに幸せな気持ちにさせるに違いない。
「栗の品評会があれば、やまが和栗は丹波にも負けませんよ」
数年前、各産地の栗ペーストを試していたころ山鹿和栗に行き当たった武井さんは、そう力強く話す。
やまが和栗には10種以上の品種があるが、そのことにもポジティブな意見を持っている。
「ブレンドの面白さがある。単一品種は味が単調になりがちだが、ブレンドコーヒーやボルドーワインと同じように、栗ペーストも様々な品種をブレンドすることで、奥行きのある旨みを出すことができる。やまが和栗はとにかく味が濃いので、その特徴を軸に山鹿ブレンドとして打ち出すのも良いのではないか」
研究心の尽きない武井さんは、今後新商品としてモンブランのホールケーキの構想を立てているという。
やまが和栗は九州を飛び出して、横浜から全国の人々に、今日も至福の時間を与えている。
[基本情報]
店名:Au petit matin(オ・プティ・マタン)
電話:045-786-0558*予約可
住所:神奈川県横浜市金沢区大川7-4 レイディアントシティ横浜1F
営業時間:10:00-20:00
休:水・木