奉納灯籠巡り ~2022年山鹿灯籠まつり~

山鹿といえば、毎年8月15日、16日に開催される山鹿灯籠まつり!
今年は3年ぶりの開催かと思われたものの、コロナウイルス感染拡大防止の観点から千人灯籠踊り等は中止を余儀なくされ、神事のみ規模を縮小して執り行われました。
今回は神事の一つである、「奉納灯籠」についてご紹介します。

突然ですが、「奉納灯籠」をご存じですか?
奉納灯籠とは読んで字の如く、「奉納される灯籠」という意味です。毎年8月15日に各町内でそれぞれの灯籠を展示し、8月16日の夜に町衆たちによって大宮神社に奉納されます。
山鹿灯籠といえば金灯籠が代表的ですが、神殿造りや座敷造り、城造りなど、実は様々な様式があるんです。この山鹿灯籠は、木や金具を一切用いず、手すき和紙と少量の糊だけで作られるのが特徴です。
今年は計27基の奉納灯籠が灯籠師によって制作され、うち16基が山鹿市内の街角に展示されました。
山鹿市内で見つけた!という方も多いのではないでしょうか?
展示されている奉納灯籠を見るために、全ての展示場所をまわる方も多いんだとか。

それでは、今年の奉納灯籠を灯籠師ごとに見ていきましょう!

作品紹介

■今村時子 灯籠師

まずは大迫力なこちらの作品!
泉町公民館に展示されていた「秋葉山本宮秋葉神社」です。
和紙と糊だけで造られているとは思えないほどのどっしりとした佇まいで、とても見ごたえがあります。

■牛嶋富士子 灯籠師

こちらは牛嶋灯籠師の作品、阿蘇神社拝殿(大宮町)です。
2016年の熊本地震で倒壊し、現在も災害復旧工事が進められている阿蘇神社。
一日も早い復旧を願い、この作品を制作されたそうです。

■坂本ゆかり 灯籠師

写真右側の日光東照宮は、「ぜひ座ってじっくり見てほしい」という坂本灯籠師の思いから、作品のそばにはベンチが用意されていました。作品を下から見上げるとその繊細さと細かさがより一層際立ちます。

田中久美子 灯籠師

この家、どこかで見たことがありませんか?
そうです!日本の国民的テレビアニメ、「サザエさん」の磯野家住宅なんです!
サブちゃんこと、三郎さんが「三河屋で~す!」と顔を出す勝手口もありました。(写真右側)
360度、どの角度からでも楽しむことができ、ついつい見入ってしまいます。

そして、山鹿灯籠の代表作とも言える「金灯籠」。
温泉プラザの3階、商工会議所に飾られていた金灯籠も田中灯籠師の作品です。
金灯籠はその立派さからまるで金属のようにも見えますが、先述したとおり和紙と糊だけで作られているためとても軽く、その重さはわずか60gほど。
凛とした姿が美しいですね。

■中島弘敬 灯籠師

まるで本物の建造物を眺めているような臨場感ではないでしょうか。
山鹿灯籠は「骨なし灯籠」と呼ばれるように、木や金属などの骨組みは一切使われておらず、内部を空洞化した柱などの部材で組み立てられます。
和紙と糊だけでこのような立体構造を造り出すのはまさに灯籠師の熟練の技ですね!

■中村潤弥 灯籠師

豊前街道沿いにある「ヤマノテ」前に展示されていたこの大社造りは、廃棄される野菜や果物から作られる和紙、「フードペーパー」を100%使用し制作されたそうです。
「伝統工芸業界も時代に合わせて面白い取り組みをしていると知ってほしい」という中村灯籠師の思いが込められています。

~山鹿灯籠まつりの根幹~
「上がり燈籠」

8月16日の夜になると、奉納灯籠は御神前に奉納されます。
例年は町衆たちが力を合わせ奉納灯籠を担ぎ、「ハ~イ!とうろう!」の掛け声に乗せながら大宮神社を目指すのですが、今年はコロナウイルスの感染状況を鑑み、規模を縮小して執り行うことに。
各展示場所から車で運び込まれました。

運び込まれた奉納灯籠は、神前でお祓いを受けます。

そして、お祓いを受けた灯籠は大宮神社内にある建物、「燈籠殿」へと運ばれます。
奉納灯籠はこの燈籠殿で1年間展示され、1年後の8月16日、新しい灯籠に入れ替わるのです。

燈籠殿に展示された奉納灯籠はより一層煌びやかに見えます。
みなさまも美しい奉納灯籠を観に、燈籠殿を訪れてみてはいかがでしょうか?

【燈籠殿】
所在地:〒861-0501 熊本県山鹿市山鹿196 大宮神社敷地内
電話:0968(44)1257
拝観時間:午前8時から午後4時半
料金:大人個人 200円 / 小・中学生 100円 (※未就学児は無料)



来年こそ「ハ~イ!とうろう!」の掛け声が山鹿市内に響き渡ってほしいですね。

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